シルバーの食器（銀食器）について｜金・貴金属買取の御徒町フローレス

イギリスなど中世ヨーロッパでは、シルバーの食器（銀食器）がしばしば重宝されていました。なぜかというと、現代のように科学知識が深まる前から、銀には抗菌作用があると周知されていたからです。もちろん、日本にもシルバーの食器を取り扱っているお店はあります。しかし中には、シルバーの食器は高級品のイメージがある、変色しやすくお手入れが大変そうというイメージから、なかなか手が出せない方もいらっしゃるでしょう。ですが実は、シルバーの食器は頻繁に使用することで半永久的に使い続けることができるものなのです。

半永久的と聞くと大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、シルバーの食器の中には、約300年前に製造されたにも関わらず今でも現役で使用されているものもあります。つまり、丁寧に使用すれば、親から子へ、子から孫へ、さらにその後の世代にも引き継ぐことが十分可能な食器なのです。シルバーの食器は使い込むほど傷もつきやすく、くすんだカラーになりやすいですが、使い込まれて傷の付いた方が、かえって独特の魅力を放つともいわれています。そのため新品のシルバーの食器よりも、昔つくられたシルバーの食器のほうが好ましいというコレクターの方もいるようです。シルバーの食器を自宅に取り入れてみて、家宝にしてみるのもいいかもしれませんね。

シルバー食器は頻繁に使うことが重要

シルバーの食器の場合、高価だからあまり頻繁に使わない方がいいのではないかと思う方もいるかもしれません。ですが実は、シルバーの食器は毎日使い続けた方がきれいな状態を長く維持できるといわれています。なぜかというと、シルバーの食器を長年使わずに放置すると、空気中の硫黄分と反応し変色が進んでしまうからです。1年間使用することなく食器棚の中に眠らせていると、シルバーのカラーが茶色っぽく変色してしまい、さらに長く放置していると、黒っぽくなってしまう場合もあります。しかし、毎日のようにシルバーの食器を使い続けていると、変色は進みにくく、ピカピカの状態をできるだけ長く保てます。もし当面シルバーの食器を使う予定がなければ、ラップを巻き付けて保管する方法が良いでしょう。ラップに包むと、変色の原因となる空気中の硫黄分から食器を守ることができます。このような工夫をして、なるべく空気に触れないように保管することが大切です。

シルバーの食器の美しさを維持するためには、お手入れを行うことも大切です。お手入れの基本は、柔らかい布を使ってからぶきをすることです。その際は、ほこりを払うような感じで行うと良いでしょう。もし、装飾の隙間など狭いところをお手入れする場合は、柔らかめの毛を使ってブラッシングするといいようです。シルバーの食器をお手入れする際に素手で持つと、食器に指紋が付着したり、皮脂や汗に含まれる硫黄分と反応し変色のきっかけになる可能性もあります。そのため、手袋をはめてクリーニングをするのがおすすめです。もしからぶきだけでは落ちない汚れが付着していたり、変色を起こしているのであれば、中性洗剤を少しだけ混ぜたぬるま湯の中にシルバーの食器を入れて、振り洗いをするといいでしょう。この方法でもシルバー食器の汚れが落ちない場合には、柔らかく目の細いスポンジで洗うようにしましょう。

シルバーの食器のお手入れを忘れてしまい、かなり変色が進んでしまった場合でもあきらめる必要はありません。シルバー専用のクロスが市販されているので、こちらを使って磨いてみましょう。そうすると変色している表面が摩耗して、もともと持っている本来の輝きを取り戻せます。さらに重度な汚れがこびりついている場合には、金属用の研磨剤があります。こちらを使用して磨くと、シルバーの輝きを取り戻すことが可能です。しかも変色防止効果もありますので、それを使用することで長期間にわたって美しい状態のシルバー食器を維持できます。このように、汚れてしまったり変色してしまったシルバー食器を綺麗にする方法はありますが、変色する前にこまめにお手入れすることをお勧めします。

シルバーの食器をお手入れする際に、絶対にやってはいけないことがあります。それは食器洗い機を使ってシルバーの食器を洗うことです。食器洗い機で洗ってしまうと、塩や洗剤の影響で食器の表面にシミができてしまうことがあります。そのため日常的に食器洗い機を使用されている方は、うっかりシルバーの食器を入れてしまわないように気を付けましょう。

シルバー食器に似ているもの

シルバーの食器が販売されている場所で、食器の説明を見てみると、「洋白」や「洋白銀」という名称が記載されているものがあります。洋白とは、銅と亜鉛、ニッケルなどから構成される合金のことで、洋銀やニッケルシルバー、ジャーマンシルバーなどと呼ばれることもあります。名称に「銀」や「シルバー」がついているので、銀が含まれた金属と考えられがちですが、洋白に銀は一切含まれていません。つまり、洋白銀の食器は銀食器とは別物になります。

また、その他に似た金属として、ピューターというものもあります。白目（しろめ）とも呼ばれるもので、錫（すず）を主成分としてアンチモンや銅などを加えて作られている、銀に似た合金です。イギリスで古くから親しまれており、お皿や花瓶などが多く作られています。 シルバー950のものを「ブリタニア」と呼びますが、このピューターも「ブリタニアメタル」と呼ばれる事があり、少々判別が難しいかもしれません。

最後に、銀に似た金属として錫も挙げることができます。錫製の食器は日本においても古くから存在しており、およそ1300年以上前から宮内で神器や酒器として使われていました。錫は非常に特殊な金属で、銀のように黒ずんだり、空気中でも水中でも錆びることがありません。有害物質が溶け出る事もないので、人体に悪影響を及ぼす心配がない金属です。さらに、錫も銀同様に抗菌・防腐作用が強いという特徴や、非常に化学物質と反応しやすいという特徴も持っています。この特徴から、錫製の花器に切り花を入れると水が腐らないため長持ちしたり、錫器に日本酒を注ぐと雑味の成分が錫と反応し取り除かれ、さらにおいしく楽しめたりということもあります。何を楽しむかに合わせて、いろいろな金属の器を探してみるのも面白いかもしれませんね。